らんままの気まぐれ独り言

LUNASEA、長澤知之が大好きな女の独り言です。時々太宰治が登場。

太宰治の津軽を巡る

旅を振り返って。

二泊三日の短い旅でした。
全然足りないです。物足りない。

斜陽館はもう一度行きたいな…。

 

私は何を求めて津軽へ向かったんだろう。と考えてみた。
単に「太宰治という作家が好き」というシンプルな理由かもしれない。
いや、それだけではない気がする。
自分でも気が付かないうちに、ゆっくり、ゆっくりと催眠をかけられるように
太宰の沼にずぶりとハマって抜け出せなくなっているのだ。

 

作品が好きなのは勿論なのだが、人間性についても大変興味深い。
この人間から生まれる作品だから好きになるのかもしれない。
私が好きなのは、やはり太宰の書く文章が好みだからだ。
だからその文章を生み出すバックボーンに興味がある。

 

これは長澤くんにしても同じだ。
長澤知之という人から生まれるもの、だからこそ美しいと感じる。
その美しさは何処から来るのか?と知りたくなる。

 

さて、話は戻って。
その太宰の人間性を構築したのが、津島家に生まれたということだ。

きっと一般家庭に生まれていたら、違った人生を送っていたかもしれない。


作家にはなっていただろうか。
38歳という若さで死なずに済んだだろうか。

 

そんなことを、この私が悩んだところで答えなど出るはずもなく、
また、出すべきではない。何も知りやしないくせに。と太宰から怒られそうだ。

 

ものすごく大昔な感覚でいたけれど、昭和23年まで生きていたのだから、
そこまで大昔ではない。
2020年で、生きていたら111歳。てことは90歳とかまで長生きしてくれていたら、
私も生きている太宰に会えたかもしれないと思うと、ますます身近に感じてしまう。

 

映像や肉声は残されていないので、写真でしかお目にかかることが出来ない。
昭和の後期や平成に入るぐらいとかまででも生きてくれていたら、、、
きっと映像や肉声は残せただろう。惜しい。

 

同じ1909年(明治42年)生まれの松本清張さんは、1992年(平成4年)までご存命でした。
インタビュー映像も残っています。
どうでしょう?同じ年に生まれているのに太宰の方がもっともっと昔の作家のイメージですよね。
いかに短命だったかがわかります。

 

ただ短命であったにも関わらず、約280作品を残しています。すごくないですか?
私もまだまだ読んでいない作品も多いし、知らないことも多い。
もっともっと読みたいし知りたい。

 

私が読んだ中で、印象に残っている文章、言葉を紹介します。


-葉
「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目しまめが織りこめられていた。
これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。」


-桜桃
「生きるという事は、たいへんな事だ。あちこちから鎖がからまっていて、少しでも動くと、血が噴き出す。」


-女生徒
「ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。
花の美しさを見つけたのは、人間だし、花を愛するのも人間だもの。」


津軽
「私は虚飾を行はなかつた。読者をだましはしなかつた。さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行かう。絶望するな。では、失敬。」


道化の華
「ここを過ぎて悲しみのまち。」
 友はみな、僕からはなれ、かなしき眼もて僕を眺める。友よ、僕と語れ、僕を笑へ。
ああ、友はむなしく顏をそむける。友よ、僕に問へ。僕はなんでも知らせよう。


人間失格
「恥の多い生涯を送って来ました。自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。」

 

「そこで考え出したのは、道化でした。それは、自分の、人間に対する最後の求愛でした。自分は、人間を極度に恐れていながら、それでいて、人間を、どうしても思い切れなかったらしいのです。そうして自分は、この道化の一線でわずかに人間につながる事が出来たのでした。」

 

「それは世間が、ゆるさない。世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?
そんな事をすると、世間からひどい目にあうぞ。世間じゃない。あなたでしょう?
いまに世間から葬られる。世間じゃない。葬るのはあなたでしょう?」

 

「いまは自分には、幸福も不幸もありません。 ただ、一さいは過ぎて行きます。
 自分がいままで阿鼻叫喚で生きて来た所謂「人間」の世界に於いて、たった一つ、
 真理らしく思われたのは、それだけでした。ただ、一さいは過ぎて行きます。」


-美男子と煙草
「これからどんどん生長しても、少年たちよ、容貌には必ず無関心に、煙草を吸わず、お酒もおまつり以外には飲まず、そうして、内気でちょっとおしゃれな娘さんに気永に惚れなさい。」


-新ハムレット
「てれくさくて言えないというのは、つまりは自分を大事にしているからだ。」


ヴィヨンの妻
「人間365日、何の心配もない日が、一日、いや半日あったら、それは幸せな人間です。」


御伽草子 浦島さん
「疑いながら、ためしに右へ曲るのも、信じて断乎として右へ曲るのも、その運命は同じ事です。どっちにしたって引き返すことは出来ないんだ。」


-善蔵を思う
「芸術は、命令することができぬ。芸術は、権力を得ると同時に、死滅する。」


-思案の敗北
「愛は、この世に存在する。きっと、ある。見つからぬのは愛の表現である。その作法である。」

 

 

長々と書いてしまった。
想いを吐き出す場所がここにしかないもので。

まだ読んでいない作品をボチボチと読んでいこうと思います。
ほんの少しでも太宰治に興味を持っていただければ幸いです。