らんままの気まぐれ独り言

LUNASEA、長澤知之が大好きな女の独り言です。時々太宰治が登場。

太宰治 女生徒

太宰治の作品から。

この作品は、ある女性が太宰のもとに送った日記を題材にしたと言われています。
それを元に、太宰の空想の世界が広がり、その世界で生まれた少女が主人公になりました。
14、5歳の少女が、朝起床してから夜就寝するまでの一日を、少女目線で書き綴ってあります。


初めて読んだ時は驚きました。
元々の題材に日記があったとはいえ、当時太宰は28歳。三十路前の男性である。

そもそも男性が女心を理解できるだろうか?
ただでさえ理解が難しい女心。さらに14、5歳といえば思春期真っ只中だ。
思春期の頃の、あの複雑に渦巻く心情をどう表現すればよいのか、非常に難解だと思う。

しかし、太宰は完璧に表現してくれた。
少女の次々に移り変わる心模様、少女から大人の女性へ変化していく心と体への戸惑い。
もう子供じゃないと、強がる半面、大人の女性をあさましく感じてしまう矛盾した気持ち。
自分の中にある子供らしさを失いたくないという恐れ。


何故ここまで表現できたのだろうと、驚いたのと同時に感動しました。
女性以上に女性なのだ。
そしてそれは、細部にわたるまで実に的確であると思う。
読んでいる途中、太宰の作品だということを忘れてしまうくらい、男性的な部分は無い。

主人公の少女は、自分と素直に向き合っていて、その成長をそって見守っていたくなる。
悩んだり、苦しんだり、自分を嫌いになったり、他人に腹を立てたり…。
誰もが経験してきたような、思春期の頃の葛藤が繊細に描かれています。

物語の終わりに、「おやすみ、また明日ね」と声をかけたくなるほど、感情移入してしまった。



太宰については、前にも書いたけど賛否両論が激しいです。
「好き」か「嫌い」か両極端に分かれる。
ここまではっきり好き嫌いが分かれる作家も珍しいんじゃないな。

だから無理矢理、「良いから読んでみて!」なんて押し付ける気はありませんので安心してください(笑)
「嫌い」と言われても、「そっか~仕方ないよね」としか思いませんし、何かのきっかけになればいいなと。

古本屋で買い集めても、まだまだ読めてない作品があるので、青空文庫で読破していきたい。
1日でいいから、何もしなくていい日が欲しいな。
そしてその日は一日中読書して過ごしたい。

そんな日があってもいいですよね。